1級お墓ディレクター「能島考志」が教える、
正しい国産高級墓石の選び方。
国産銘石の採掘から加工までを詳しくご案内。

西日本の銘石産地 大島石

大島石(おおしまいし/愛媛県・今治市産)のお墓のすべて

1.西日本ではお墓と言えば大島石!

「お墓に使うと言えば何といっても大島石!」と言うくらい、西日本、特に関西・中国地方では有名な高級墓石材です。


関西・中国・四国地方では昔から、黒系などの色の濃い石より、白みかげ石、青みかげ石系など淡い色目の石が好まれる傾向にあります。


少し青みがかった淡いグレー系の色目が特徴の大島石は、西日本のこれらの地域の人々に最も好まれる色目の石なのです。


161128_1.jpg

一般消費者から、絶大の人気を誇る大島石ですが、実は、西日本の石材業者が最も好む国産墓石材の一つなのです。


その理由は、なんと言っても大島石が持つ品質の良さでしょう!


国産の墓石材の中でも有数の高品質を誇る大島石は、硬質で艶持ちが良く、水を含みにくく変色しにくいという特徴を持ち、経年変化による、風合いの劣化が少ないという石質が好まれたのです。


161128_2.jpg

また、墓石以外にも多くの歴史的建造物にも使用されており、国会議事堂、赤坂迎賓館、大阪戎橋、愛媛県庁舎などが代表的です。


2.大島石の墓石って本当に国産?

こんなに良いことずくめの石ならば「大島石のお墓なら絶対間違いない!」...と言いたいところなんですが、実際はそうはいかないのが現実です。


大島石ほどのブランド墓石であっても様々な問題があるのです。


ロー●ックスの時計も、ルイ・●ィトンのバッグも、本物が人気があるからこそコピー商品が登場するのです。

.
..とは言っても、偽物の大島石墓石があるわけではありません。
正真正銘、本物の大島石墓石であることに間違いはありません。


逆に言えば、本物の大島石墓石であるだけに厄介なのです。



実は、大島石墓石の大半は日本でつくられていないのです。



大島石墓石の大半は、中国の石材加工工場で製品加工されています。


161128_3.JPG

採掘された大島石の原石を大量に中国の石材加工工場に船で送り、中国の石材加工工場で完全に墓石製品として加工された後、再び石材商社を通じて日本に逆輸入され石材店に卸されているのです。


これは、事実なのです。


「わずか」な量ではありません。


「大半」なのです。



日本国内で流通している大島石墓石の7割~8割は中国加工でしょう!



これは、大島石に限らずあらゆる国産墓石に言えることですが、中国に送られていない日本の石を探す方が難しいくらいです。


161128_4.jpg

「国産墓石」と呼ばれるものには二種類あります。


●先ずは、日本で採れた石を日本国内で加工したもの。
●そして、もう一つが、日本の石を中国で加工したもの。



日本の石を日本で加工したものを国産墓石と呼ぶのは当然ですが、日本の石を中国で加工したものも国産墓石と読んでも問題ないのです。


これは、現在の日本の法律上でも問題ないのです。


法的にはどちらも正真正銘の「国産墓石」なのです。


さらには、中国で加工された大島石墓石であるという事実を、石材店が消費者に告知する義務も必要もないのです。


そのため、ほとんどの石材店では、中国加工の大島石墓石を、堂々と「国産墓石」と店頭表示して販売しているのです。


その事実を知らないのは、一般消費者だけなのです。


3.なぜ、日本の石を中国で加工するのか? 

大島石に限らず、日本の石を中国で加工する目的は値段です。


原価コストの削減以外に何の目的もありません。


重量物である石を日本から中国に送るには運賃も掛かりますし、原石を輸入する中国の石材加工工場側には関税が掛かります。


161128_5.jpg

そして、中国で製品加工された墓石を日本に輸出される際にも、同じく運賃や関税を支払い、石材商社が製品を仕入れています。


このように、中国で加工される国産墓石には、運賃、関税、そして、当然、それを扱う石材商社の利益も含まれています。


これらの経費を差し引いても国内加工よりも安いのです。


これで、本当に良い国産墓石が出来ると思われますか?


山から切り出された大量の石の中でも、本当に良いものは、これまで、長い付き合いのある日本国内の加工工場に渡ります。


西日本では、香川県高松市の「庵治・牟礼(あじ・むれ)」が、石材加工産地としては有名で技術力の高い工場が集まる地域です。


161128_6.JPG

庵治・牟礼のような加工産地の工場がつくる大島石墓石と、中国で加工される大島石墓石とでは、石の質はもちろんの事、研磨や加工精度など、すべてにおいて大きく異なります。


一般消費者は、石材店から「国産墓石」と言われれば、日本の石を日本で加工していると思うのが当然でしょう。


それが、中国で加工されたものであると最初から知っていたら、買わない人も数多くいるのではないかと思います。


お墓は長い年月に渡り使うものだけに、値段の安さだけではなく、日本の石を日本で加工したと言う「安心」を求める人もいるのです。


したがって、石材店側は中国加工の国産墓石を販売する際には、たとえ法的には告知義務はなくとも、モラルとして捉えるならば、国内加工か中国加工なのかをきちんと消費者に伝えるべきです。


ちなみに、私ども第一石材では、中国加工の国産墓石は一切取り扱っておりません。


【関連記事】

大島石を選んだからといって必ずしも良いお墓にならない3つの理由


西日本の銘石産地トップへ HOMEへ