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「産地証明書」は信用できるのか?(5・最終話)しょせんはただの紙切れ!

以下のブログからの続きです。最初からご覧になってください。

(1)産地証明書は品質を証明するものではない!
(2)宝石の「鑑定書」「鑑別書」とはどう違うのか?
(3)「A5ランク」の和牛が絶対おいしいとは限らないのと同じ!
(4)外国産墓石の産地証明書には国名・加工地のみの記載


消費者が購入したお墓に発行される「産地証明書」について、
これまで、いろいろと書かせて頂きましたが結論です。


「産地証明書」をまるまる信用するのは危険です。
極論すればただの紙切れであって、お墓そのものではないのです。



160510.jpg

消費者のなかには、産地証明書の有無を最も重視する人がいますが、
書かれていることといえば、国産墓石でも以下のような内容だけです。

①石の名称
②採石丁場...原石の採掘業者名
③加工業者又は、石材商社名
④販売店名...石材店など墓石販売店

外国産墓石の場合は、もっと簡略化されています。


要するに「どこで採れた」「どういう名前の石を」、
「どこでつくった」または「どこの石材商社が取り扱いをしたか」、
そして、どこの石材店が消費者に販売したかが書いてあるだけです。

愛知県で製造されたプリウスをカローラ兵庫○○店で購入。
亀山工場で製造されたシャープのアクオスをヤ○ダ電気で購入。


例えるならばこんな感じです。


クルマや家電製品を購入する時にこんな内容の証明書を求めますか?


クルマや家電製品などの工業製品でも当たり外れがありますが、
石は大地の自然から産出される天然資源であるだけに、もっと厄介です。
いくら有名ブランド石であっても全てが良いわけではありません。


なかには、墓石に使えないような石もたくさんあります。


そして、いくら良い素材を使っていても墓石自体の構造はどうなのか?
加工精度の良し悪しや、耐久性に優れた設計・施工であることも重要です。


お墓は極めて当たり外れがある商品なのです!


先ずは、そこの部分を一般消費者は知っておくべきです。
※詳しくは「お墓には当たり外れがある?」をご覧ください。

今の世の中、はたして何を信用していいのか分からないくらい、
さまざまな業界で数多くの偽装事件が勃発しているだけに、
「産地証明書」に頼りたいという消費者の気持ちも分かりますが、
しょせんは「ただの紙切れ」であることを十分認識しておくべきです。


繰り返しますが、実際のお墓そのものではないのです!


160510_a.jpg

お見合いでも「釣書」の内容だけで結婚を決める人はまずいないでしょう。
やはり、実際に合って話をして、その人の「人となり」や、
自分との相性など、釣書以上に優先されることの方が多いはずです。

お墓の場合も同じで、産地証明書や保証書なんてなくても、
素晴らしいお墓を提供してくれる石材店もあるはずです。


やはり、最終的には「石材店選び」しかありません。


お墓は高価な買い物だけに「産地証明書」という紙切れだけに頼らず、
いろいろな石材店に自ら足を運び判断するしか方法はなさそうです。




             ~おわり~



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「産地証明書」は信用できるのか?(4)外国産墓石の産地証明書には国名・加工地のみの記載

国産墓石に対して発行されるほとんどの石材産地証明書には、
石の名前、採掘業者名、加工業者名、販売石材店が記載されています。

それに対して、外国産墓石に発行される石材産地証明書には、
石の名前、加工地、製品輸入業者、販売石材店が記載されています。

さて、国産墓石用と外国産墓石用のどこが違うかと言うと、
国産墓石用には、原石の採掘業者、墓石の加工業者名が記されていますが、
外国産墓石用には採掘業者名と加工業者名が記載されておりません。


その代わりに「加工地」「加工国」などの項目があります。


「石材産地証明書」は、さまざまな団体から発行されていますので、
一概には言えませんが、ほとんどがこのような内容かと思います。


では、この加工地等の箇所にどのように記載されているかです。


「加工地」すなわち、どこでお墓がつくられているかということです。


外国産墓石に発行される石材産地証明の多くは加工地の箇所に、
「中華人民共和国」「中国福建省」などと記載されていると思います。


製品によっては「インド」もあるかも...


これを、国産墓石の石材産地証明書に当てはめれば、
「日本」あるいは、「四国」または「香川県」となるわけです。


つまり、中国のどの石材加工工場でつくられた製品かは分かりません。


しかし、中国国内には数多くの石材加工工場があります。
値段は高いが優れた技術レベルの工場、値段は安いが製品はさっぱり、
値段もそこそこで製品の出来栄えもそこそこの工場など、実に様々です。


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工場により技術力の差があることに関しては日本の場合も同じです。
日本国内ならば、どの石材店で加工しても良いものが出来るとは限りません。


中国より加工技術のレベルが低い石材店もたくさんあります。


ただ、中国の石材加工工場の体質(ものの考え方)は極めて分かりやすく、
製品の出来も素晴らしく値段も安いという工場はまず存在しません。


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値段の高い工場には良い石と腕の良い職人が集まります。
逆に、値段の安い工場は安い石材しか扱わず腕の良い職人も居ません。

ユ○クロのように「値段は安いが製品は良い!」なんてことは、
同じ中国でつくられているにも関わらず、石材業界では有り得ないことです。


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中国における石材加工においては、良い工場とそうでない工場、
すなわち、値段の高い工場と安い工場の製品の差は顕著に表れます。

しかし、様々な団体が発行する外国産石材産地証明書のほとんどが、
加工地は「中華人民共和国」「中国・福建省」としか記載されていません。

たしかに、石材産地証明書は産地を証明するものであり、
品質の良し悪しを証明するものではないにしても、
消費者に少しでも安心感を与えることを目的とするならば、
「中国福建省、○○石材」と記載してある方が親切ではないかと思います。


しかし、通常、石材店が外国産の墓石を仕入れる際には石材商社に依頼します。


当社の様に、中国国内に数多くある石材加工工場の中から、
使用する石種や墓石のカタチに応じて加工工場を選定し、
自ら中国に出向き、製品検品までを行っている石材店はめずらしい存在です。


普通は、中国のどこの工場で加工されているのかは石材店も知らないのです。


しかし、現代社会においては、お米や野菜などの食品にも、
生産者の名前や住所、顔までもが表示される時代です。


04d.jpg


一般消費者は「購入するものについて正確な情報が欲しい」と考えています。


お墓に関しては、そうそう買い替えるものではないだけに、
どこで加工された製品なのかがきちんと表示されていることが要求されます。


産地証明書が、そうした一般消費者のニーズに応えするものとするならば、
「中華人民共和国」「中国・福建省」といった記載だけではなく、
加工工場の名称までが、きちんと記載されたものであるべきではないでしょうか。



           ~つづく~



「産地証明書」は信用できるのか?(3)「A5ランク」の和牛が絶対おいしいとは限らないのと同じ!

宝石に限らず、食品などにもランク分けされているものがあります。


例えば、牛肉(和牛)の格付けです。


「A」「B」「C」の3等級からなる歩留等級と、
「5」から「1」までの肉質等級によって表示されます。


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つまり、最高ランクの「A5」から最低の「C1」まであるのです。


さらに、「神戸ビーフ」「松阪牛」「佐賀牛」「米沢牛」など、
全国には200種類以上のブランド牛肉があります。

そして、精肉店やスーパー、ステーキハウス、高級焼肉店など、
売り手側も、この等級を前面に出して販売しているところもあります。


また、消費者側もこの等級をかなり信用している傾向にあります。


私の地元、神戸では、「神戸ビーフ」が有名ですが、
「A5」ランクの神戸ビーフが必ずしも美味しいとは限りません。

なぜならば、この格付けは、それぞれの牛肉を実際に食べて行うのではなく、
目視で等級が決められるため、実際に食べてみないと分かりません。

また、素材自身は「A5」ランクの素晴らしいものであっても、
それを調理する料理人の腕が悪ければ、美味しい料理になりません。


このあたりは、墓石とよく似ています。


いくら良い石であっても、加工を手掛ける石職人の腕が悪ければ、
素材の良さを十分に引き出した、良いお墓にはなりません。


1229b.jpg

結局は、「A5」ランクの「○○牛」云々にこだわるよりも、
どこのお店で誰が調理するかで、美味しいまずいが決まると思います。

仮に「A5」ランクのステーキを食べてまずかったとしても、
今後、二度とその店に行かなければ済むことです。


少々高い値段かも知れませんが、お墓に比べたらマシです!
お墓は建てた後で後悔をしてみても、すでに遅しです!


それだけに、本当に満足できるお墓づくりをするためには、
良い石材店選びに限ると言っても過言ではありません。



          ~つづく~

「産地証明書」は信用できるのか?(2)宝石の「鑑定書」「鑑別書」とはどう違うのか?

宝石に発行される証明書には「鑑別書」と「鑑定書」がありますが、
「鑑定書」が発行されるのは天然ダイヤモンドだけです。

ルビーやエメラルドなど、他の宝石には鑑別書だけです。


では、鑑別書と鑑定書の違いを簡単に説明します。


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鑑別書は、この石は本物の天然石か人口処理石かの証明書です。
「本物のダイヤモンド」「本物のルビー」かどうかを証明するものです。

鑑定書は天然ダイヤモンドだけに限って発行されるもので、
その石の大きさ、色、加工精度、キズの有無により細かく鑑定されます。


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これらの鑑定を行うのは、専門機関の認定を受けた宝石鑑定士です。

たとえば、これを墓石の「産地証明書」に置き換えてみますと、
鑑別書は、その石が本物の大島石かどうかを証明するものであり、
鑑定書は、その大島石が「特級」なのか、「1級」なのか、
「二等」なのかを証明し、加工精度までを鑑定することになります。

そう考えると、現在、墓石業界で発行されている産地証明書は、
どちらかと言えば、鑑別書に近い部類に入るのではないでしょうか?

ただ、宝石の鑑定書、鑑別書と墓石の産地証明書との大きな違いは、
宝石の場合は、認定を受けた鑑定士の資格を持つものが鑑定するのに対し、
墓石の場合は、採石丁場、石材商社、石材店などが発行している点です。

また、仮に、最高評価の鑑定書が付いたダイヤモンドの指輪であっても、
その指輪全体のデザインが素晴らしいかどうかと言うと別問題です。


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デザインに関しては、宝飾デザイナーのセンス次第です。


そのあたりは「デザイン墓石」とよく似ています。


最高級の庵治石細目を使用したデザイン墓石であっても、
見た目のデザインが野暮ったければ高級墓石に見えません。

ただ、評価の高い鑑定書が付いた天然ダイヤモンドの場合は、
財産価値として考えるならば、大きな意味があるでしょう。



           ~つづく~



「産地証明書」は信用できるのか?(1)産地証明書は品質を証明するものではない!

「産地証明書」は産地を証明するもの

「○○さんが作ったトマト」や「△△さんが育てた□□鳥」など、
食品には、産地と作り手が表示されているものが数多くあります。


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そして、「道の駅」などでは、○○さんが作った□□はよく売れるが、
他の□□はあまり売れないという現象も現れているそうです。

近年、墓石業界も同様に「産地証明書」なるものが、
採石丁場、協同組合、事業団体などから発行されるようになりました。

特に、国産の石を使用した墓石に発行される場合が多く、
その理由は、消費者に安心を与えるためだと考えられます。


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さて、この「産地証明書」が信用できるのかどうかなのですが...


先ずは、この「産地証明書」とは何を意味するのでしょうか?


読んで字のごとく「産地」を証明するものです。


つまり、「どこで採れた石」を「どこで加工」して、
「どこの石材店」を通じて販売されたかという証明なのです。


「産地証明書」が付いている製品ならば安心できるのか?

では、試しに前述の「どこ」の部分に文字を入れていきましょうか。


例えば、「○○丁場産大島石特級」を「中国△△省」で加工して、
「□□石材店」が販売した、と言うような記載内容になります。

このように、中国の石材加工工場でつくられた大島石特級の墓石でも、
日本の石を使用していれば、国産墓石の「産地証明書」が発行されます。


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中には、日本の石を日本国内で加工した「純国産製品」だけにしか、
「産地証明書」を発行しない事業協同組合等の団体もあります。


言い換えれば、その墓石の品質を保証している証明書ではないのです。


同じ大島石特級の原石であっても、加工を手掛ける業者によって、
墓石としての製品の出来栄えは、天と地ほどの差があります。

逆に、一つランクが下の「大島石1級」の原石を使用しても、
腕の良い石職人が作れば、大島石特級に負けない出来になります。


素材ももちろん大事だが、やはり作り手の技術があってこそです!


産地証明書に記載されている石材の種類やランク、
どこの採石丁場で採れた石なのかも大切な要件ですが、
どこの加工工場でつくられた製品なのかが最も重要なのです。

また、日本の加工業者がつくった製品ならすべて安心とは限りません。
ましてや、中国加工の国産墓石となるとなおさらのことです!


そして、石材店がどのような工事をしてくれるかも大切です。


すなわち「産地証明書付き」≠「良い製品とは限らない」という事です。


「産地証明書」は気休め程度に考えている方がいいのかも分かりません。


          
                 ~つづく~

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